伊勢に住む私達だからこそ、地域の歴史や文化を学ぼうと開催しております。
3月には第5回目となる講座が開かれました。
今回の講師としてお願いしたのは、公益財団法人伊勢文化会議所評議員である橋爪貴子氏。倭姫巡行についてのお話を伺いました。
倭姫が、御杖代(みつえしろ)として天照大御神を伊勢に導かれた、ということはよく知られておりますが、その巡行の旅は奈良県宇陀市にある宇多秋宮(うたあきのみや)から始まり、今の滋賀県、岐阜県、愛知県などを経てこの伊勢の地にたどり着くまでには約30年ほどの長い月日を費やしました。
実は、最終的には伊勢に落ち着かれるということは、もともと決まっていたようなのですが、なぜ、ここまで多くの遠回りをされたのでしょうか?
それは、当時は女性である姫ぎみは神秘的であり、占いによって政治をもうごかしたと言われるほど力がありましたため、争いを避けるためにも、各地の豪商と折衝をしていく必要であったのだそうです。
なぜこの伊勢が選ばれたのか・・・
それは、大和朝廷にとって、東側を収めるにはこのあたりの土地がふさわしく、また、神様へのお供えものである御食(みけ)の調達には、海の幸、山の幸の豊かな伊勢は魅力が高かったようです。
あたり前のように伊勢には神宮があり、全国から多くの方が訪れますが、これも倭姫の尽力があってこそと、その生涯を神に捧げた倭姫に思いをはせる講座となりました。
(松本 ゆかり)